イマジナリーライン
映像は鑑賞する者を時間的に拘束する(かつては、見直しのきかなかった)媒体である。イマジナリーラインとは、そんな映像を一度見ただけで理解できるようにするために発明された、原則の1つである。
通常、イマジナリーラインを越えた撮影は避けるので、機材やスタッフは最初にカットを入れた際のカメラ側に置くと映り込みがなく好ましい。
イマジナリーラインを越えて撮影する場合、背景や機材等も移動させる必要があり、大掛かりな作業になる事が多い。ちなみにこれをどんでんが返る、どんでん返しするという。
越えてはならないと言っても、物語中で人物の位置が入れ替わることは頻繁にある。イマジナリーラインは、カットの切り替わりで越えるのはダメだが、同一カット内で越えるのは良い。
一般的な方法は、カメラが移動するか、登場人物が移動するか、もしくは異なる種類のカットを挟む方法(爆発等の派手な場面、第三者の登場等)などである。
例外的に、あえてイマジナリーラインを越えたカットをつなぐ演出をする場合もある。
クロスカッティング
クロスカッティングは、異なる場面のシーンを交互に撮影(映写)することにより、臨場感や緊張感などの演出効果を齎す映画の撮影技法である。また、フラッシュバックとも呼ばれる。
通常は、同時に複数の場所で進行している出来事を、交互に見せることが多い。映画史においては、1903年のアメリカ映画『大列車強盗』で、逃亡する強盗一味と彼らを追いかける保安官の場面などにおいて初めて用いられた。D・W・グリフィスが1915年の『國民の創生』における戦闘シーンで効果的に用いたことにより、更に普及した。
カットバックは、クロスカッティングと殆ど同じで、やはり異なる場面のシーンを交互に撮影する技法だが、通常、カットバックは場面Aから場面Bに短時間で戻る一回の動きを指す。
フラッシュバックは、クロスカッティングとカットバックのバリエーションの一つで、非常に短い間隔で異なる場面のシーンを切り返すことである。フラッシュバックを多用(重用)し、独自のスタイルを築き上げた作家としてサム・ペキンパーなどが有名である。