従来館との相違点

従来館に比べて劇場の床の傾斜が大きいスタジアムシートを採用していることが多い。
また、従来館では劇場の扉を二重扉にして遮光をすることが多かったが、シネマコンプレックスでは扉の前に壁を設けたり、扉をスクリーンに対して垂直に設置したりして遮光をしている。二重扉の場合、2つの扉が同時に開くとスクリーンに余計な光が入ることがあるが、シネマコンプレックスの構造だとどのような場合でもスクリーンに余計な光が届くことがない。
これらの構造を採用することにより、シネマコンプレックスでは快適性を謳っている。
なお、地域の火災予防条例やバリアフリー関連の制約により異なる構造のシネマコンプレックスもある。

従来館の場合、入場料収入を主な収入源としているが、シネマコンプレックスは入場料だけでなく飲食物にも収入源としてのウェイトを置いている。
具体的には飲食物の客単価が従来館は152円程度である一方、シネマコンプレックスは250円程度と1.6倍以上に見積もっている。
その為、従来館では市販の菓子類を販売し、飲食物の持ち込み制限も緩やかな場合が多いが、シネマコンプレックスではできたてのポップコーンやチュロスなど市販の菓子とは差別化できる物を販売しており、飲食物の持ち込み制限も比較的厳格である。また、座席にカップホルダーを設置し売り上げ向上を図っている。

従来館との相違点2

従来の映画館は映写機2台を自動で切り替える全自動映写機を採用することが多かった。
それに対し、シネマコンプレックスは映写機1台で上映を行うノンリワインド映写機を採用する場合が多い。シネマコンプレックスの場合、立ち見を許していないため、1スクリーンの座席数以上の集客が見込める上映作品では入場できない観客が出る恐れがある。
そこで、複数スクリーンで1つのフィルムを同時上映する「インターロック」と呼ばれる仕組みが採用された。
インターロック上映に対応しているのがノンリワインド映写機だったため、シネマコンプレックスでの採用が多くなったと考えられる。現在では従来館でノンリワインド映写機を採用する事例も増えてきた。

レイトショーは従来、週末や特別興行のみに行われていたが、シネマコンプレックスでは年中行っている場合が多い。
従来館の場合、駐車場が設けられていないこともしばしばあった上に、繁華街に建設されることが多かった。
そのため、終電など公共交通機関の運行時間帯を超える上映スケジュールを編成しづらい環境であった。
しかし、シネマコンプレックスはショッピングセンターとしての駐車場が併設されており、また、郊外にあり利用客の住居に近い立地でもある。そこで、終電などの時間に縛られない上映時間の設定を行うようになった。

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